初めまして、お久しぶりです。如月いるかといいます……
あたしのこと覚えてますか? 春海のお母さん。
あたしが泣いてたら、歌って慰めてくれたきれいな人。
芙蓉の花の咲く思い出の。
あの嫌味ったらしい河童頭のお母さんだとは思ってもいなかったけど、でも、今考えたらやっぱり、きれいなところは似てるのかなあ。
どっちかと言ったら、徹くんの方がお母さん似かなあって思うけど……じゃないや、あたしは、そう思うんですけど……
あの……春海のお母さん。
あたし、あの、ええと、春海……って呼んじゃだめなのか。
春海……くん……? なんか違うなあ。
春海、さん……のこと――春海さん、なんて初めて呼んだけど――あたし、好きなんです。子供の時、出会った瞬間にケンカしてたはずなんですけど、なんでこうなっちゃったんだろうって、自分でも思います。おかしいですよね。
でも、今、お母さんの前に屈み込んでお話している人のこと、あたし、本当に好きなんです。今はそれだけでいいって思ってたんですけど、何だか……春海の……じゃない、春海さんのお父さんがあたしのことを知ってる……じゃない、ご存知……みたいで……
父ちゃ……あたしの父は、そこまでは知らないはずなんです。だって、知ってたら最初から春海の名前を出してるはずですから。
だから春海……さんが『一回、親父と直接話す』とは言ってくれてるんです。でも、とにかく、あたしと春海の間で縁談とか、け……結婚、とかいう話になっちゃって、ですね。
あたしってバカなので、春海じゃない人とお見合いなんて冗談じゃないって、後先考えずに飛び出してしまったんですけど、結局、相手は春海で……
ああ、春海なら、いいかって。
そう思ったんです。春海で良かったって。
みんなの間では、これってずっと笑い話になるんだろうけど、笑い話に出来て良かった。だって、逃げちゃったのは、そんなの絶対に嫌だったから。
あたしには春海がいるのに、って、そう思ったから……
あたしでいいのかな……って、ちょっと思ったりもしますけど。
でも、春海は……春海が、あの時、言ってくれたから。
あいしてる……
あたしも、です。あたしも同じ。
まだまだ子供だけど――でも、好きです。
これからどう変わっていくのか、誰にも分からないけど……でも、愛してます。
愛って、どうやったらうまく言葉で言えるんですか?
もし、春海があたしの前からいなくなってしまったら?
そう考えただけで胸が痛い。きっと悲しくて叫んでしまう。
ずっとずっと泣いてしまう。
だからすごく反省しました、今度の家出のことは。ただでさえ、去年の夏のことがあるのに、あたし、また春海に心配をかけてしまいました。
ごめんなさい。
でも最後に、あたしたち、分かったんです。
これがきっと、愛してるっていうこと。
あたしたち、まだ高校生だけど、きっと今が考える時なんだって思いました。
あたしでいいですか? お母さん。
正式に話が決まったとしても、まだ当分は先のことだけど――
あたし、春海の……お嫁さんになってもいいですか?
(でも、あの……お嫁さんって、何をするんですか? 春海のお母さん)
[25回]