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こちらは、大昔の少女マンガ「いるかちゃんヨロシク」をお題とした二次創作ブログです。目指せ! 春海しあわせ計画。 ☆絵と文章:小林りり子☆ ★閲覧の際はご注意下さい★ 激しくポエム、激しく自家発電、激しく自分絵(らくがきレベル)。突然、時系列をワープする無節操さ、唐突なファンタジー設定、微妙にR18要素あり。
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 西から戻った時、この国はなんと冷たく暗く、凍えるように寂しいのだろうと思った。だがそれは、望まぬ別離に傷ついた心の見せる心象だった。
 幾日も経って生まれた地を眺めると、そこは変わらずに美しい国だ。
 ただ、彼がいないだけ。
 彼のいない日々も、彼のいない風景も、悲しいほどに美しい。

   

 彼女は待っていた。
 眠り姫のように、意識を失くして待つのではなく──西からこの場所まで続く道を毎日見つめながら……
 道を彩る草花の、鮮やかな緑が枯れていく様を見つめながら。
 待っていた。

  

 約束の地の名はカレリア。

   

 少しずつ、彼女も歩き始める。
(私だけがここで、一歩も踏み出さず、ただ待ち焦がれていても、いつか会えた時に彼をまっすぐ見られない。だから私も歩く)
 どこまでも続く森の道と湖を越えて、凍える木と吹雪を越えて、長い長い時間を越えて。
 そして、いつしか大地は再生する……

   

 湖を巡り、ひとりで歩き続けていた彼女の目に光が灯った。
 遠くに旅人が見える。
 少しだけ慄き、一瞬だけ立ち止まり、それでも彼女は歩き出す。しばらくして、旅人の顔がはっきりと見えた。彼女は今度こそ動けなくなった。
「……リア」
「……レリア……」
「カ……レ……リ……ア……」
 勿論、彼もすでに彼女を見つけていたから、距離が縮むごとに叫び声が森に響く。
「カレリア……ここが……やっと──カレリア……」
 旅人が、荷物を放って駆け出した。
 青い青い春の空、晴れの空の下で。
「──カレリアにまで来た……やっと……」
 長い長い白夜を越えて、本当の朝が訪れたのだ。
 彼の腕が、手が、求めるものを掴むために差し出される。彼女は大きく、息を吸い込んだ。
「ああ……本当に……ここに来た……イリーカ、イリーカ!」
「……」
 抱きしめられるのと同時に彼女も叫んだ。
「ハル……」
「やっと来た。ここに……俺が誰だか、覚えてるか?」
「忘れるはず、ない」
「生まれた国も、友人も、後にしてきた。おまえのいる場所で、俺も生きていく」
「私、あなたの国が大好きだった……でも、私はもう西へ戻れないの」
「だから俺が来たんだ」
「……ここは冬が長くて、とても寒いよ。それでも……?」
「ああ」
「後悔するかも、しれないよ」
「しない」
 彼は彼女の両肩を掴んで、強い声で言った。
「しない。来たのは俺の意志だから」
「……うん……」
「きれいな国だ。おまえの生まれた場所……カレリア」
 彼女をもう一度抱きしめ、彼はささやいた。
「会いたかった、ずっと」
「私も……私も」
「冬が長くても……長いからこそ、春がこんなにきれいなんだろう? この空の色……! 湖の色、森の色……でも、何よりもおまえだ。おまえが目の前にいる、だから全部が美しく見える」
「私も、昨日よりもきれいに見える」
 彼は彼女の手を取った。
 彼女も、彼を見つめた。
「いつか西に帰る時があれば、二人で帰ろう。……それまでは、ここで生きるんだ。冬がどれほど長くても──必ず春が来る。白夜の夏なら、愛したまま眠らない……おまえがいれば」
「あなたがいれば……」

   

 約束の国の名は、カレリア。
 それが深淵の森だとしても、彼と彼女は恐れずに足を踏み入れる。
 森の中、迷う時もあるだろう。花を見失う時もあるだろう。
 それでも、共に生きると誓う。

   

 再会を果たした空の下で。

     

      
      
       

       
         

https://www.youtube.com/watch?v=A8ODBkBAgkw
フィンランド民謡「カレリアの丘」 | Karjalan kunnailla

 







 *****

 初出:2019.1/29
 名前はご覧の通り、そのまんま適当バージョン。
 カレリア=東京置き換え話です。
 長文にすると例のごとく過剰になってしまいそうで、何もかも削ぎ落としたスタイル。
 ちなみにわたくしは、本来の国名である「スオミ」の方が好きですし馴染みもあります。
 しかしその割には現地語通りカルヤラでないのが私の適当なところ。何事もフィーリングです。
 スオミの中のカレリア地方、という場所ですね。
 7/31まではサンドボックスでも閲覧可能。
 http://lovelight2013.blog.shinobi.jp/sandbox/contents
 
 完全なる余談
 いま管理画面を見ると、この記事の番号が900番になっていました。
 はあ? 900? なんて恐ろしい……
 だから最近は省エネを目指して無駄なトーク記事を書かないようにしているんですれど、それでも900って。
 日記や雑記ではなく創作文章で900ということにせめてもの慰めを感じよう。一年以上前の再録ですが。
 どのみち、行く時は何を書こうと再録だろうと大台に行きますよね。
 行く時は行くしかない。いえ春海のことじゃなくて。


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小林りり子
性別:
女性
自己紹介:
妄想を垂れ流す女。
当ブログは「いるかちゃんヨロシク」専用になりました。
2013.3/4、旧「愛のうた~」よりお引越し。

当ブログは、非公式の個人ブログです。
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