「映画? 二時間も座ってられない、飽きるもん」
「スポーツ見る? 自分でやった方がいいじゃん」
「渋谷か原宿で買い物? 買うものなんてないし」
そんな彼女が夢中になる場所……それは……
「いるかちゃん、うさぎさんだよ!」
「わあ、うさぎだ! 正美ちゃん、そっちのは茶色いね。こっちは黒と白が混じってるかな……」
「お鼻がぴくぴくしてる、かわいいね!」
「こっちは真っ白だね! 正美ちゃん、だっこできる?」
「うさぎさん、おどろかないかな? 大丈夫かなあ?」
「きっと大丈夫……ほらほら、おとなしいじゃん!」
「いるかちゃんもだっこして、写真とってもらおうよ! ねえ、お兄ちゃん! 写真とって!」
「わあ、ふかふかしてかわいい! ねえ、巧巳、正美ちゃんの写真撮ってあげてー!」

「おまえの弟はまだ無邪気なもんだな。普通に笑って手を振ってられるんだから。まあ、子供らしくて結構なこった……」
「うるさい。俺にもカメラ貸せ」
「やだね。俺が、自分の妹に頼まれて撮ってるんだから。おまえだってカメラ持ってくりゃよかったのに」
「……それはともかく、あんまり見るな」
「バカかおまえは。見ずにどうやって写真撮るんだよ。……それにしても、凶悪だよなあ、あれ。正美みたいな美少女がちっこいうさぎを抱いて屈み込んで……まったく、信じられないぐらい凶悪な絵面だよな! なあ、春海」
「……」
「正美みたいな可愛い小学生じゃなくても、自分の彼女が真っ白いうさぎをだっこして、上目遣いでこっちを見てる……なかなか、男にとっちゃ凶悪だよな。――写真、焼き増ししてほしけりゃ黙って同意しとけよ」
「……ああ、凶悪だ。凶悪すぎてめまいがする」

*****
今年のゴールデンウィーク。レジャーというようなことをしたのは4月末だけで、あとはずっと風邪ひいて家にいました、私……
今でも咳が……ゲホッ。
その4月末の体験から、
「うさぎを抱っこする幼児は凶悪」
「子供じゃなくても、彼女がうさぎを抱っこしたら男にとって凶悪(に違いない)」
という結論に達しました。
(写真撮影:小林りり子)
[17回]