[12回]
春海が「君を信じているから」と手紙を書いてくれたので、あたしも返事を書いた。頭の中で。
もう手紙なんて書かなくていい距離にいるのに、自分の気持ちを文字に託した春海。それを大事にしたかった。
信じてくれて、ありがとう。
信じるべき時に信じられないことは、とても悲しいことだって、教えてもらったんだよ。
あたしは、春海と会って話さなきゃ分かってもらえないと思ってた。
でも、春海は信じてくれた。
信じようと思ってくれたんだね。
だから、謝らないでね。
そんな目をして謝らないでよ。
あたしも信じようって思えたのは、それが春海だからだよ。
信じてほしいなら、まず自分が信じること……
あたしは手紙を書いた。何度も何度も書き直した。
頭の中で。
春海へ、信じてくれてありがとう……
その後、あたしの降りる駅で(あたしを待っていた)春海に会った。
春海はちょっと不安そうな顔で、あたしを見た。
まるで、その顔に「あの時はごめんな」って書いてあるようで、あたしが思わず笑ってしまうと、春海も笑顔になった。
もうすぐ、嵐がやって来る。
真実を聞いてしまった以上、あたしも春海も黙っていられない。
すべてを明らかにして、その先はどうなるのかはまだ分からないけど、今よりはずっといい。
だからあたしたちは、嵐の夜に一人っきりにならないように、お互いを信じるの。信じようと決めたの。
何があっても離れ離れにならないために。
そしてあたしは、今度は声に出して返事をした。
「春海、信じてくれてありがとう」
「…………」
春海はあたしの手を掴んで、しばらく離さなかった。
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これも、本編ではけっこう謎な空白があるので(手紙のくだり~「春海、あたしやっちゃうからね!」まで)、その行間を埋めてみました。