彼氏の言い訳。
あらためて高校生編を読むと、春海は完全に他の女はアウトオブ眼中なんだけど(そもそも具体的なエピソードすらない)いるかって巧巳にちょっとドキッとしてるんだよね。
「カッコイイよね、二人とも」と……
これは春海が(巧巳とはケジメを着けたとは言え)自覚のない彼女にちょっとイラッとしても無理はないかも……
[21回]
おまえは自覚がなさすぎる。
どんな壁でも、どんな人間に対してもまっすぐ対峙して軽々と飛び越えるおまえだから、いつの間にか俺の心にまで入ってきた――それは分かってる。
分かってはいるけれど、だからってこっちの気分が落ち着く訳じゃない。いや、分かっているからこそ、その作用が俺以外の誰かに効いてしまうことを恐れている。
誰にでもそういう笑顔を向けるな。
男に混じって、男と同じような格好で飛び跳ねてんじゃねえよ。
(昔はともかく)
いつまでも子供みたいな顔したって、周りはごまかされてくれねえぞ。
別に、束縛するつもりはない。
――と言っても、これでも自覚はある。人より嫉妬深いという自覚だ。
自分で自分に言い訳したって空しいよな。
キスを繰り返しても募る不安。
少し潤んでいる彼女の大きな目。
子供みたいにじたばたと俺の腕からすり抜けようとする仕草。
毎日毎日、こんな目に遭ってみろ。
神経がどれだけあっても足りなくなる。
別に、おまえが他の誰かに特別いい顔したり、好意をあからさまに見せている訳じゃないんだ。
皆に好かれているって、いいことだよな。
そう、それが自分の女でさえなければな!
……他の女なんて知らないよ。
いつも女の子から見られてるくせに、って?
知るか、そんなこと。
気づいてもいないし、気づいてもどうでもいい。
つまり、おまえも同じなのかな。
俺と同じで、勝手に見られたり思われたりされても、そんなことまで責任持てるかよ、ってことか?
好きだと言っているのに。
好きだよと言われているのに、形容し難い気持ちが突風のように襲ってくるのはなぜだろう。
……だから。
そんなふうに、他の誰かに笑うなって言ってんだろ……
理由なんか、ないよ。
俺がムカつくだけだからな。