
エースの人生テンプレート・21世紀版
「もし21世紀のマンガだったら、春海は甲子園で大活躍して知名度が全国区に跳ね上がって、マスコミから『なんとか王子』とか意味不明な愛称で呼ばれ続けてドラフト一位指名されてプロ入りしちゃって、一年目から先発ローテーションに入って立派なエースとしてリーグ優勝の立役者になっちゃって、もしかしたら日本一にもなっちゃって……きっと春海、ファンから『はるくん』って呼ばれるよ……だけどそのうち女子アナとか芸能人くずれの女にとっつかまって、あたしのことなんか忘れちゃうんだ。そんで、最後にはメジャーリーグに行っちゃうんだあ……」
「何なんだよ、その具体的な妄想は……」
◇

サワヤカでないサワヤカな夏の計画
「夏休みに海でピクニック? 女子が弁当持ち寄って、浜辺でビーチボール? へえ、面白そうじゃねえか。なあ春海」
「ああ、そうだな。実に楽しそうな計画だよな……眩しい夏の海、砂浜、波打ち際! 髪にからみつく貝殻! 封印していた記憶がつい昨日のことのように蘇ってきそうで――ああ本当に、震えが来るほど愉快だぜ……!」
「ど、どうしたの山本くん。すごい形相になっちゃって……」
「おい坂本、悪いけどこいつは不参加として扱ってくれねえか? 嫌なスイッチが入っちまった……」
◇

大きな傘の下で
「ねえ春海、もう誰も傘差してないよ。空も明るくなってきたし」
「そうだな」
「へんだよ、あの……雨降ってないのに、あ、あいあいがさ……」
「俺の傘は大きいから、どしゃ降りでも構わなかったのに」
「ええ? でも風が斜めだったりしたらさ、傘がどんなに大きくても濡れちゃうんじゃない? だめだめ、そうやって傾けたってやっぱり風……が……」
「……」
「……!」
「……」
「は、はるうみ……誰か見てたらどうすんの……?」
「だから、絶対見られないように傾けただろ? 便利だな、傘って」
[14回]