[6回]
もういいよ。
もういいよ……
さあ見つけて。
さあ、あたしをつかまえて。
見つけるのなんて、簡単。
だって、甘い匂いがするでしょう?
…………
あたしね。
隠れる気なんて、最初からないんだよ。
隠れちゃったら渡せない……
もういいよ、さあ、目を開けて。
やっと振り返ったその視界に、小さな愛しい隠れ子が見えた。
その手に、鬼を誘き出すための灯火を携えて。赤い紐がゆらゆら揺れて、鬼の息遣いをどうしようもなく逸らせる。
見つけた。
見つけた、もういいんだろ?
目を開けていいって言ったよな。
おまえが一日中、見えない場所に隠れているような気がしていた。
ずっとそばにいるのに、その灯りだけが見えなくて。
形だけがすべてじゃないと知っている。
だけど、言葉だけじゃ足りないことも知っている。
おまえの差し出す灯火は、飢えて弱りきっている鬼にとっては救いだし、喜びなんだ。
ためらわず鬼は、隠れ子を抱きしめる。そう、隠れていたおまえをつかまえる。怯えない、怖がらないと分かっているから……
鬼が、隠れ子にそっと触れて。
そして遊戯はおしまい。
鬼さんこちら。
お菓子のにおいのする方へ。
手の鳴る方へ……
つかまえた。
甘いにおい、甘い光。
探してた笑い声、見つけたよ。
――でもさ、こんなに簡単に見つけても良かったのか?