[15回]
このままどこへ行こう……
あの春の日から、どれだけ経ったのだろう。
なぜ私たちは近づいてしまったのか。
これからどこへ行こう……?
あなたがいない日々に私は戻れるだろうか?
戻れなくても、戻らなくてはいけない。
戻りたくないと心は泣いているけれど、私は行かなくちゃいけない。
でも、きっと私は戻ることができる。
あなたが悲しく優しいキスをくれたから。
好きだと叫んでくれたから。
追いかけると約束してくれたから。
夏の風にその言葉が散ってしまっても、私は忘れない。
自分の辛さに負けて、あなたの悲しみを思いやってあげられなかった。
自分だけが苦しく悲しく、辛いと思っていた。
だから、その悲しみに負けて、あなたを追いやってしまった。
まっすぐあなたを見て、さようならを言うことはできない。
絶対できないと思ったから……
私を許してくれますか?
春海、あなたが好き。
こんなに好きだったことを、今、知ったの。
◇
このままずっと待っていても、おまえは戻ってこない。
夏が終わってしまう。
でも、会わなかった方がマシだったなんて思わない。
いつの間にか、いつも側にいることが当たり前になって、失うことなんて考えもしていなかった。
疑ってさえいなかった。
数日前にそれを知った時も、心のどこかで「まだ」だと思っていた。
こんな痛みを抱えて、どうやって明日に向かうことができるんだろう?
でも、頭の片隅では、すべてを分かっている自分がいる。
明日は自分で作るもの。
まだ完全に失われていないのだから、取り戻す。
おまえのいる明日を作ってみせる、絶対に。
秋の寂しい風景も、冬の寒さも飛び越えてみせる。
どうして言わなかったんだと、責めたくない。
何も言えずに悲しんでいたことぐらい、俺にだって想像できる。
初夏からずっとおまえに抱いていた違和感は、その辛さを一人で背負っていたからだったんだ。
まっすぐにさようならを告げられたら、俺は何と言えただろう?
絶対に何も言えない。
帰るなとは言えない。言う資格も権利もない。
絶対に、何も言えなかっただろうから……
さっき叫んだ約束を、覚えていてほしい。
おまえが好きだ。
おまえを取り戻したい、絶対に……
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倉鹿編ラストver。
ⅠがあるからにはⅡもあります。
当然、Ⅱは家出編ラストになると思われます。
文字通り「終わらない旅」になった彼と彼女の人生に、祝福を。