[34回]
初めて触れたくちびるは、夢に見ていたよりずっと柔らかかった。
ずっと、こうしたかったんだよ。
触れたかった。
この先ずっと、俺以外の男に奪われないように鍵をかけておきたい。
いつからなんて分からない。
だけど、ずっと前から恋に落ちていた。
初めてあたしに触れたくちびるは、不意打ちのようだった。
驚いたけど、本当は、ずっと待っていたような気もする。
熱かった。
さっきの拗ねたような表情が、胸に焼きついて離れない。
いつからだったか、覚えていない。
だけど、この人をずっと待っていた。
唇をやっと離して、照れたようにちょっと笑って、彼は川べりから立ち上がる。
まだ呆然としているような彼女に、手を差し伸べる。
彼女も何とか立ち上がるが、真っ赤になった顔を俯けている。
それでも彼が手を離さないので、引っ張られるようにして歩き出す。
もう昨日までの二人はいない。
たった数分で、世界が変わることを知ってしまったから。
これからは、微熱に浮かされるような日々が続く。
初めての微熱、初春の頃。
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ファースト「チョコ味見」キスですが、あれ、ファーストの割にはかなりDeepに思えるんだよねー。
お子様時代にそう思うならともかく、いま読み返してもやっぱりDeepだぞ、春海。
君は本当に中学生か!?