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こちらは、大昔の少女マンガ「いるかちゃんヨロシク」をお題とした二次創作ブログです。目指せ! 春海しあわせ計画。 ☆絵と文章:小林りり子☆ ★閲覧の際はご注意下さい★ 激しくポエム、激しく自家発電、激しく自分絵(らくがきレベル)。突然、時系列をワープする無節操さ、唐突なファンタジー設定、微妙にR18要素あり。
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 睡魔が襲ってくるまで考えて考えて、結局「明日になれば何とかなる」という行き当たりばったりな結論しか出せず、あたしは眠ってしまった。

 眠気っていうのは恐ろしい。
 考えが止まってしまうし、そんなに悩むほどのことでもないじゃないかとまで思ってしまう。朝になればまた元に戻るんだけど。

 あたしの場合、食べたら眠い、運動したら眠い、授業中はもちろん眠い……だからつまり、それ以外の時間と場所だと眠くなくて、多少はちゃんと考え事もできるってことだけど……それって、春海といる時間と重なってしまう、ってことなんだよね。

 でも、あたしも数日ですっかり懲りてしまったから、普通の状態に戻りたい。とにかく、春海を納得させないとだめ。
 何となく気づいてもらおう、なんて甘い考えなんだ。きっと。
 言えばきっと春海は分かってくれる――って言うか、最初から分かってるんだよ。分かっててあたしをからかってるんだから。

 でも。
 からかってんじゃないのかなあ、と思う瞬間もあって。

 あたしがここで、返事を適当にしたり曖昧にごまかしたりしたら、春海は多分ちょっとだけ笑って、それからいつもの春海に戻ると思う。
 あたしを必要以上にからかうこともせずに。
 あたしがひとりで考えすぎないように……?

 そういう気配りとか思いやりっていうことを――静かに、知られないように春海は行うことができるんだ。
 前からそうだったけど、男の子ってみんな、春海みたいに大人なの?

 だけど、春海を知っている親友は『あいつは意地っ張り』だと言う。あたしのことを心配してくれてる時にも、春海は黙っていた。黙ってあたしを見てくれていた……ようだった。

 あたしが春海のことを誤解して怒りまくって、顔を背けて無視していた時ですら、言い訳もしないし曖昧に笑う訳でもなかったし……本当に、とにかく、徹底していた。
 徹底して、自分の意見を枉げなかった。

 だけど静かに、あたしの味方でいてくれた。だったら何か言ってくれたらあたしもやりようがあったのに、春海はそういうやり方しか知らないみたいだった。

 進みたいな長年の親友は『まったく、意地っ張りだよな』と言ったものだけど、進の言う意地って、誰に対する意地なんだろう。
 あたしなの?
 それとも、春海自身なのかな?
 意見を枉げなかった、と言うよりも、意地を張ってて枉げられなかった……って言いたかったんだろうか、進は。

 もしそうだったら、春海も(あたしが思っているよりは)子供っぽい部分もあるのかもしれない。
 と言うか、年齢で言ったら春海だって、まだ子供のはずだけど……ううん、でもやっぱり、春海は随分と大人だと思う。
 まだ大人じゃないけど、もう半分ぐらいは大人になりかけてる。あたしには少なくとも、そう見える。

 だから、あたしと春海は少しだけボタンを掛け違えてるようなところがある。少し……少しだけ、ずれてるの。
 そばにいて楽しい。でも息苦しい。
 そばにいたい。でも怖い。
 そばにいてほしい、でもまだ信号は青じゃない……

 その夜、あたしは夢を見た。
 あたしたちは遮断された踏切に視界を塞がれて、ふたりで立ち尽くしている。
 あたしは動けない。
 春海は走り出す。遮断されている向こう側に、なぜか走り出す。
 まだ、だめだよ。
 まだ置いていかないで。あたしはまだ走れないよ……

 点滅してる。
 赤い色、青い色……
 あたしたちの線路の信号、ずっと、点滅してるのが春海には見えてる? 知ってる?
 だから、だからね。
 今はまだ、あたしが出す合図だけ見ていてほしいんだ。

 あたし、苦しいよ。
 でも、春海が好き。
 春海だけが好き。
 好きだから苦しいんでしょ?
 キスしたいけど、キスだけじゃどうして足りないって思うのか。春海にこんなこと、聞けないでしょ?

 だから、まだこれは秘密にさせて。
 夢の中だけで言わせてね。
 目が覚めたら合図を送るから、ね?

 ◇

 まだ
 あなたには
 こんなこと
 言えない

 あたしは
 …………
 知ってるの
 あなたが欲しいもの

 あたしが欲しいもの
 それが何なのか
 きっと知ってる
 だから、苦しいし痛いの……

 ◇

 夢の中で春海がどう答えたのか、どんな顔をしたのか。
 あたしはまるで覚えていなかった。
 それで、よかったと思った。
 今はまだ、知りたくない。

 悩みはまだ続いていたけれど、とにかく行動すべきことは決まっていたから、昨夜のように疲れることもなかった。
 あたしの様子がおかしいと思ったのか、今日の春海はあたしを何度も覗き込んでくる。
 笑っても口が引きつってるって自分でも分かるけど、気にしない。いいんだ、そんなことはどうでも。
 あたし、見せるからね。
 今はこうやってあたしに気づかせてって、そういう合図を見せるからね。

「あのね」
 高校生が、誰にも見られない場所を探すのって難しいよね。
 駅には人がたくさんいるしさ。
 だからって、まったく人気のないところがあっても困るし。まあ、でも、歩いていれば公園のひとつやふたつ見つかるし、ゆっくり座れるベンチもある……
 この時間が、子供が遊ぶにはまだ早いのか遅いのか、あたしにはよく分からないけど、今のところ誰もいないような感じ。

 ベンチに腰を下ろしたあたしは、あのね、と言いかけて、ちょっとだけため息をついた。
 春海が、少し身動ぎをしたのが分かった。

「……なあ、いるか」
「なに?」
「おまえさ、もしかして、怒ってたりする……?」
「……」
「……」

 あたしが黙ったままでいると、春海は困った顔をした。
 その顔。
 大好きなんだけど、あたしを困らせる人。たったひとりの……

「あのね、春海」
「……だからさ。合図がどうこうって、あの話だよ」
「うん、その話なんだけどね」
「俺、ああいうこと言いはしたけどな、実際は何もしてないだろ? それでも怒ってんのか?」
「怒ってんじゃないよ。困ってるだけ」
「なんで、困るんだ?」
「なんでって、春海の言うこと、むちゃくちゃなんだもん」
 あたしは思わず、またため息をついてしまった。
「あたしをからかってるんでしょ、どうせ」
「……」
「……見本、見せたら、その通りにしてくれる?」
 それだけ言うのにも決心が必要だった。
 春海が、そう何度も見たことのないびっくりした顔で、あたしを見ているのが分かる。

 春海の腕に、手を置いた。
 それから、制服ごとその腕を少しだけ引いた。
――たったこれだけかよ、って言われても仕方ないけどさ、あたしも今はこれが精一杯の合図なんだよ。
 本当に、これだけでも大変なんだからね。
 あたしは、子供なんだから。自慢することでもないけど。

 からかわないで。
 意地悪しないで。
 ずるいかもしれないけど、あたしは絶対、春海の速度に追いつけない。だから、春海に振り返ってもらうしかないよね?

「え……ええと、だから……だからね、これが……」
「……」
「これで……わ、分かる……?」
 分かってくれなきゃ、ちょっと泣いてしまいそうだなあ、あたし。――と思った途端、春海の顔が目の前に降りて来た。
 その目は、笑っていない。
 ああ。
 あたし……これが怖い。
 ちょっとだけ怖い……

「今度から……」
 春海がゆっくり言う。あたしにだけ聞こえる声で。
「今度から、俺がおまえにそうすれば……分かるのか?」
「う……ん……たぶん」
「多分って、何だよ。そりゃ」
 ふっと、春海がおかしそうに笑う。
「おまえが考えたんだろ、その合図」
 なぜだか、無理して笑っているように見えた。

――あたしは本当に子供なんだろうか。自分で思っているように、子供なんだろうか。
 なんであたしは、こんな春海を可愛いって思うのかな?
 あたしと同じように春海も、あたしを追い詰めないように思いやってくれている。なんでそんなこと、誰にも教えられてもいないのに、あたしは分かってしまうんだろう?
 恋って、そういうものなの?
 こんなお芝居みたいなことを繰り返して、いつかは本当に言いたいことを言えるようになるんだろうか。
……それはいつなんだろう。
 分からないけど、すごく遠いんだろうなって気がするよ。

「分かった、分かった。じゃあ今度からそれ、採用な」
「……」
「そんな顔するなって言ってんだろ」
 春海も、さっきのあたしと似たようなため息をついて、それからあたしの髪をくしゃっと触った。
「下校途中でおまえが何も買い食いしないのって、珍しすぎて調子が狂うぜ」
「だ、だって……」
 さすがに今日は、買い食いどころじゃなかったんだもん……
「好きなもん食わせてやるから、もうそんな顔すんな。それと……」
 今日はその合図も使わないから、と春海は付け足した。あたしが顔を上げると、もういつもの春海だった。――少なくとも、声と表情だけは。

 立ち上がって、春海はあたしに手を伸ばす。
「ほら、行くぞ。すぐ暗くなっちまう」
「うん……」
「またパンか?」
「うーん、ええと、何にしよう」
「何でもいいよ。好きなもん食え」
「ほんとに? じゃあ、好きなだけ食べようかなあ……」

 お互いが少しだけ無理をして、それでも一緒にいたいから離れない。

 今日、あたしが春海に出したのは小さな小さな合図。
 春海からの合図はまだ受け取れないっていう勝手なあたしだけど、それでも……それでもずっといっしょにいたいから。

 今は遠くで、かすかに点滅するシグナル。
 まだ、それが何色なのか、あたしは知りたくない。
 だから、送らないで。

 まだあたしに、眩しく光る合図を送らないで……

 

 

 *****

 1/2の永遠/PSY・S

 らくがきの時点では、単なるネタで終わるはずだった。
 それなのに、うちの少女はだんだん核心に近づいていってます。

 少年はもちろん、かなり少女を思いやってるんだけど、やっぱりどこかで不協和音って言うか、違和感が生じる時期だと思うんですよ。

 そして私は、この時期がいちばん(書いていて)楽しくてたまらない……

 この話には、春海視点はありません。
 いるかだけの考え、悩みを書きたかったので。ただでさえうちは、春海視点に偏りすぎているので、今回は少年の、さぞ複雑であろう心中はガン無視します。

「そこまでいるかを悩ませたつもりはないんだけど!」
 とか、
「軽い冗談じゃないか!」
 とかの言い訳も、無視します。
 
 彼氏の猛烈クレーム




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小林りり子
性別:
女性
自己紹介:
妄想を垂れ流す女。
当ブログは「いるかちゃんヨロシク」専用になりました。
2013.3/4、旧「愛のうた~」よりお引越し。

当ブログは、非公式の個人ブログです。
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